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カール・シュミット『憲法論【新装版】』

カール・シュミット『憲法論【新装版】』がみすず書房から出ている。
どうやら今月また復刊したみたいだ。

初版が1974年5月30日なので、40年以上前から読みつがれている翻訳ということになる。

時期によっては品切れ中で手に入らないこともある本だけに、興味がある人はこの機会にぜひ入手しておくべきだろう。

法学部で法思想などについて学んでいる人は、ほぼ必読の文献だと思う。

https://www.msz.co.jp/book/detail/08748.html
目次


緒言
序文

第一編 憲法の概念
第1章 絶対的憲法概念(統一的全体としての憲法)
I 具体的統一および秩序の総体としての、もしくは国家形体としての憲法(「形体の形体」)/もしくは政治的統一の形成の原理としての憲法/II 規範的意味での憲法(「規範の規範」)
第2章 総体的憲法概念(多数の個別法律としての憲法)
I 憲法の憲法法律への解体/II 成文憲法/III 憲法法律の形式的特色である改正の困難性
第3章 積極的憲法概念(政治統一体の態様と形式に関する全体決定としての憲法)
I 憲法制定権力の行為としての憲法/II 政治的決定としての憲法/ワイマール憲法の決定/憲法と憲法法律の区別の実際的意義(憲法改正、憲法の不可侵性、基本権、憲法争議、憲法に対する宣誓、謀叛)/III ワイマール憲法の妥協的性格、真の妥協と表面的妥協(学校および教会に関する妥協)
第4章 憲法の理想概念(すぐれた意味で、特定の内容のためにそう呼ばれる「憲法」)
I 理想概念、特に自由という概念の多義性/II 市民的法治国憲法の理想概念/III 近代憲法の二つの構成部分
第5章 「根本法律」、根本規範または lex fundamentalis(根本法)という言葉の意義(総括的概観)
I 根本法律という語の九つの意味/II いろいろな意味の結合/III 本書において憲法という場合、積極的意味での憲法を意味する
第6章 憲法の成立
I 憲法は一方的決定か相互の合意によって成立する/II 歴史的概観(1 中世の封建国家と等族国家、特にマグナ・カルタ、2 1806年までのドイツ帝国、3 絶対君主国家、4 1789年の革命、5 1815年-1830年の王制復古、6 七月革命、7 ドイツにおける立憲君主制、8 1867年の北ドイツ連邦および1871年のドイツ帝国、9 1919年のワイマール憲法)
第7章 契約としての憲法
I 国家契約または社会契約と憲法契約との区別/II 連邦契約としての真の憲法契約、一つの政治統一体内の不真正憲法契約/III 状態契約としての真の憲法契約(契約は守られるべし、という命題の批判)/IV 憲法と国際条約
第8章 憲法制定権力
I 政治的意思としての憲法制定権力/II 憲法制定権力の主体(神、人民もしくは国民、国王、組織されたグループ)/III 憲法制定権力の行使、特に民主的慣行(国民会議、憲法起草会議、国民投票)
第9章 憲法の正統性
I 正統性の種類/II 憲法が正統であるというのは、憲法が以前に有効だった憲法法律規定に従って成立したということを意味するものではない/III 王朝的正統性と民主制的正統性
第10章 憲法制定権力、特に人民の憲法制定権力に関する理論の帰結
1 憲法制定権力の不断の存在(永続性 Permanenz)/II 憲法制定権力が同一である場合の憲法廃止および憲法破棄に際しての国家の継続性/III 憲法制定権力の主体の変更(憲法廃棄)の場合における継続性の問題、特に1918-19年のドイツ国の継続性/IV 憲法制定権力と憲法によって与えられている各権能および権限との区別
第11章 憲法の概念に由来する諸概念(憲法改正、憲法破棄、憲法停止、憲法争議、謀叛)
I 概観/II 憲法法律による憲法法律の改正(憲法修正、増補)/憲法改正権能の限界/憲法破棄とかくされた主権行為/憲法停止/III 憲法争議/IV 謀叛における攻撃および保護の対象としての憲法

第二編 近代憲法の法治国的構成部分
第12章 民主的法治国の諸原理
I 近代憲法の法治国的構成部分と政治的構成部分との区別/市民的法治国の二原理すなわち基本権(配分原理)と権力区分(組織的原理)/II 法治国概念と個々の特徴(法律適合性、行政裁判、すべての国家行為の予測可能性、裁判官の独立、司法形式化、政治的裁判の問題)
第13章 法治国の法律概念
I 市民的法治国における法と法律/II いわゆる形式的法律概念/III 政治的法律概念/IV 法規範の普遍性の意義
第14章 基本権
I 歴史的概観/II 基本権の荘重な宣言の歴史的および法的意義/III 基本権の実質的分類/IV 制度的保障(institutionelle Garantie)は、基本権と区別されねばならない/V 基本的義務は市民的法治国においては憲法法律上の義務である/VI 制限と侵害に対する保護の観点からする基本権の分類
第15章 権力の区分(いわゆる分立 Teilung)
I 歴史的成立/II 権力の分離と均衡/厳格な分離の図式/均衡の図式/III まとめ
第16章 市民的法治国と政治形体
I 市民的法治国の憲法は常に混合的憲法である/国家形体は区分され分立せる権力(立法権、執行権)の形体となる/II 政治形体の二つの原理(同一性と代表)/III 代表制の概念/IV 市民的法治国の諸原理と政治的形体諸原理との結合と混合としての近代憲法

第三編 近代憲法の政治的構成部分
第17章 (1)民主制の理論  基本概念
I 若干の概念規定の概観/II 平等の概念(人類の普遍的平等、実質的平等)/III 民主制の定義
第18章 人民と民主制憲法
I 憲法以前の超憲法的人民/II 憲法内の人民(選挙および投票)/III 憲法法律規定と並存する人民(世論)/IV 近代憲法論上の「人民」という言葉の意義に関する概観
第19章 民主制の政治的原理から生ずる帰結
I 一般的傾向/II 民主制における公民/III 官庁(官庁および官吏を選定する民主的方法)
第20章 民主制の政治的原理の国家生活の個々の領域への適用
I 民主制と立法(特に人民投票と人民請求)/II 民主制と政府(特に政府と人民の間の直接的関係を回復すること)/III 民主制と国際法関係/IV 民主制と行政/V 民主制と司法
第21章 民主制の限界
I 同一性の原理の限界/II 人民の性質から生ずる限界/III 今日の民主制の実際における限界/IV 「多数が決定する」という命題の批判
第22章 (2)君主制の理論
I 君主制の基礎づけ(神権的、家父長的、家産的、官僚的、皇帝的君主制)/II もろもろの君主制正当化の憲法論的意義/III 近代憲法における君主の地位/IV 共和制憲法の大統領
第23章 (3)近代市民的法治国憲法における貴族制的要素
I 権力区分の手段としての貴族制原理/II 二院制の理念と正当化/III 歴史上の二院制のタイプ(上院(オーベルハウス)、貴族院(ヘレンハウス)、セネット、連邦院(シュターテンハウス))IV 上院の権限と権能
第24章 (4)議会制
 I 「議会主義」なる言葉の多義性、特に四つの型(大統領制、議会制、首相制、内閣制)/II 議会制の理念的基礎(市民層の歴史的状況、教養と所有、公開の討論)/III 議会制の根本思想から生ずる諸帰結(代表制、公開性、討論)
第25章 議会制の発展に関する歴史的概観
I 英国における歴史的発展の最も重要な諸事項/II フランスおよびベルギーにおける発展/III ドイツにおける発展
第26章 議会制の諸形態に関する概観
I 決定的観点/議会と政府の一致/II 一致を実現するための手段/III 議会制的責任の「事態」(「内閣に関する事態」)
第27章 ワイマール憲法の議会制
I 四つの型の結合/II 概観/III ワイマール憲法の議会制の実際/1 議会の信任(憲法54条1段および2段)、2「宰相は政治の基本方針を決定する」(56条)
第28章 議会の解散
I 解散の種類(君主、大統領、大臣による解散、自己解散、人民請求に基づく解散)/II 大統領の解散権

第四編 連邦に関する憲法理論
第29章 連邦に関する憲法理論の基本的諸概念
I 国家間の関係および結合の種類についての概観(国際法団体、個々の関係、同盟、連邦)/II 連邦の概念規定から生ずる諸帰結(和平、保障、干渉、連邦強制)/III 連邦の法的および政治的矛盾ならびに同質性の要請によるその止揚
第30章 連邦に関する憲法理論の基本的諸概念からの帰結
I すべての連邦はそれ自身独自の交戦権を伴う政治的実存を持っている/II 連邦はすべて、それ自身国際法上および国法上の主体である/III すべての連邦は連邦領土を有する/IV 連邦代表、連邦諸制度および諸官庁、連邦権限/V 連邦に対する謀叛行為/VI 民主制と連邦制(特に憲法18条)

付録 ワイマール憲法

訳者あとがき
索引

大沢秀介、大林啓吾『アメリカ憲法判例の物語』

[憲法] ブログ村キーワード

2014年4月発売の本。
アメリカ憲法に興味がある人は図書館などで読んでみても良いかも。
まあ、普通の図書館においてあるような本ではなく、かなり読者を選びそうだけど。

⇒ アメリカ憲法判例の物語 アメリカ憲法叢書 / 大沢秀介 〔単行本〕


ちなみに、大沢秀介は慶応大学法学部教授。
主な役職歴はウィキペディアによればこんな感じ。


1977年(昭和52年)4月 - 1980年(昭和55年)3月:慶應義塾大学助手(本務)
1980年(昭和55年)4月 - 1984年(昭和59年)3月:慶應義塾大学法学部専任講師(本務)
1984年(昭和59年)4月 - 1989年(平成元年)3月:慶應義塾大学法学部助教授(本務)
1985年(昭和60年)4月 - 同年9月:慶應義塾大学通信教育部学習指導副主任(役職)
1989年(平成元年)4月 - :慶應義塾大学法学部教授(本務)
1989年(平成元年)10月 - 1990年(平成2年)7月:慶應義塾大学法学部学習指導副主任(役職)
1990年(平成2年)4月 - :慶應義塾大学大学院法学研究科委員(役職)
1991年(平成3年)10月 - 1992年(平成4年)3月:慶應義塾大学法学部学習指導副主任(役職)
1992年(平成4年)8月 - :港区個人情報保護運営審議会委員
1999年(平成11年)1月:国立民族学博物館出張
1999年(平成11年)1月 - 2000年(平成12年)12月:港区情報公開・個人情報保護審査会委員
1999年(平成11年)2月 - 同年7月:自治省選挙部 「首長の多選の見直し問題に関する調査研究会」会長
2000年(平成12年)1月 - 同年12月:日本弁護士連合会センター検討作
2000年(平成12年)1月 - :法務省司法試験管理委員会考査委員
2001年(平成13年)1月 - 同年12月:日本学術振興会委員
2002年(平成14年)4月 - 2003年(平成15年)3月:参議院客員調査員


大林啓吾は慶応大学出身で現在は千葉大学の准教授。
共著ってことは、大沢秀介の弟子なのかな?
最近ではこんな本も出している。

アメリカ憲法と執行特権 権力分立原理の動態/大林啓吾

アメリカ憲法と執行特権 権力分立原理の動態/大林啓吾



以下、目次。

Preface
第1部 平 等
Chapter 1 高等教育機関におけるアファーマティヴ・アクション 3
Chapter 2 初中等教育機関における人種統合のゆくえ 47
第2部 表現の自由
Chapter 3 表現の自由とバーチャル児童ポルノ規制 89
Chapter 4 十字架を燃やす行為の規制をめぐる憲法問題 137
Chapter 5 他者に精神的苦痛を与える民事不法行為と表現の自由 173
第3部 自己決定
Chapter 6 文化戦争と反ソドミー法違憲判決 197
Chapter 7 「一部出生中絶」の禁止と中絶の権利の将来 237
第4部 デュー・プロセス
Chapter 8 懲罰的損害賠償とデュー・プロセス 279
Chapter 9 少年の死刑と国際基準 315
第5部 政府言論・著作権
Chapter 10 政府言論の法理 353
Chapter 11 著作権延長法の合憲性 383
第6部 刑事手続・人身保護令状
Chapter 12 対審権と伝聞証拠 411
Chapter 13 「テロとの戦争」と人身保護 441
第7部 選挙権・選挙制度
Chapter 14 大統領選挙紛争と投票権の平等 479
Chapter 15 団体による政治資金の規制 527
第8部 権力分立・連邦制
Chapter 16 項目別拒否権法(The Line Item Veto Act)の合憲性 567
Chapter 17 信教の自由と司法の優越 597

『アメリカ憲法判例の物語』
細 目 次


Preface i

第1部 平 等
Chapter 1 高等教育機関におけるアファーマティヴ・アクション
――The Story of Grutter v. Bollinger, 539 U.S. 306
(2003) [大沢秀介]   3
 はじめに 4
 Ⅰ アファーマティヴ・アクションの意味 6
  1 アファーマティヴ・アクションとブラウン判決 6
  2 ジョンソン大統領の演説 7
  3 連邦最高裁のアファーマティヴ・アクションに対する判例 8
 Ⅲ グルッター判決 20
  1 事実の概要 21
  2 法廷意見 24
  3 その他の裁判官の意見 29
 Ⅳ グルッター判決の影響 31
  1 グラッツ対ボリンジャー事件 31
  2 フィッシャー対テキサス大学事件 34
 Ⅴ グルッター判決の検討と社会的影響 37
  1 グルッター判決の検討 37
  2 判決の社会的影響 42
 Ⅵ 結びに代えて 45


Chapter 2 初中等教育機関における人種統合のゆくえ
――The Story of Parents Involved in Community
Schools v. Seattle School District, 551 U.S. 701 (2007)
[溜箭将之]   47
 はじめに 48
 Ⅰ 初等・中等教育における人種隔離の解消 48
  1 教育機関の民主主義的正統性 48
  2 第一審裁判所の位置 50
  3 政治部門と連邦最高裁 50
 Ⅱ 1970年代以降の判例と人種隔離解消訴訟 52
  1 1970~80年代 53
  2 1990年代以降 53
 Ⅲ 二都物語 56
  1 ケンタッキー州ルイヴィル 56
  2 ワシントン州シアトル 56
 Ⅳ ペアレンツ事件 57
  1 事実――ロバーツ法廷意見版 58
  2 ロバーツ法廷意見 59
  3 事実――ブライヤー反対意見版 61
  4 ブライヤー反対意見 64
  5 スティーブンス反対意見 66
  6 ケネディ同意意見 67
  7 トーマス同意意見 69
 Ⅴ 判例解釈をめぐる論点 70
  1 アファーマティブ・アクションと厳格審査 71
  2 やむにやまれぬ利益 72
  3 厳格審査のアプローチ 73
  4 人種を用いた区別の手法 75
 Ⅵ 本判決の意義 77
  1 連邦最高裁での「保守」と「リベラル」の攻守交代 77
  2 初中等教育をめぐる構造改革訴訟の変容 79
  3 実際上のインパクト 81
  4 人種統合推進派の苦難 82


第2部 表現の自由
Chapter 3 表現の自由とバーチャル児童ポルノ規制
――The Story of Ashcroft v. Free Speech Coalition,
535 U.S. 234 (2002) [大林啓吾]   89
 序 90
 Ⅰ 児童ポルノ規制の動向 91
  1 児童ポルノと児童虐待 91
  2 児童ポルノ規制をめぐる連邦最高裁と連邦議会 93
 Ⅱ アシュクロフト対言論の自由連盟判決 104
  1 下級審の判断 104
  2 連邦最高裁の判断――法廷意見 106
  3 同意意見と反対意見 114
 Ⅲ 本件のインパクトと立法の対応 116
  1 FSC判決の意味 116
  2 新たな立法動向 118
  3 バーチャル児童ポルノの行方 119
 Ⅳ 表現価値論と児童ポルノ規制 123
  1 カテゴリカルアプローチ 123
  2 表現価値の問題 125
  3 児童ポルノは修正1条によって保護されるのか? 127
  4 バーチャル児童ポルノの価値 129
  5 過度広範ゆえに無効の法理の意義と問題 132
 後序 134


Chapter 4 十字架を燃やす行為の規制をめぐる憲法問題
――The Story of Virginia v. Black, 538 U.S. 343
(2003) [小谷順子]   137
 Ⅰ はじめに 138
 Ⅱ アメリカにおける憎悪表現規制の歴史 140
  1 1970年代までの流れ 140
  2 1970年代終盤以降のPC運動とRAV判決 146
  3 十字架を燃やす行為の規制をめぐる問題 152
 Ⅲ ブラック事件のバージニア州における経緯 154
  1 ブラック事件の事実概要 154
  2 ブラック事件をめぐるバージニア州最高裁判決 157
 Ⅳ ブラック事件の連邦最高裁判決 158
  1 連邦最高裁における口頭弁論,判決言渡し 158
  2 オコナー判事による法廷意見(一部,相対多数意見) 159
  3 トーマス判事の反対意見 163
  4 スカリア判事の結果同意意見 165
  5 スーター判事の一部結果同意・一部反対の意見 166
 Ⅴ ブラック判決後の展開と考察 167
  1 差戻審としてのエリオット判決(2004年) 167
  2 ブラック判決をうけて 168
 Ⅵ おわりに 170


Chapter 5 他者に精神的苦痛を与える民事不法行為と表現の自由
――The Story of Snyder v. Phelps, 562 U.S. ___ (2011) [藤井樹也]   173
 序 174
 Ⅰ 背景 175
 Ⅱ スナイダー対フェルプス事件判決 177
  1 事実 177
  2 ロバーツ法廷意見 179
  3 ブライヤー同意意見 181
  4 アリート反対意見 181
 Ⅲ 本判決後の動向 183
  1 立法による刑事規制 183
  2 連邦下級審の裁判例 183
  3 同姓婚に対する抗議活動 184
 Ⅳ 考察 184
  1 公的関心事のテスト 184
  2 IIEDと修正1条に関する先例との関係 188
  3 他者加害的表現の規制可能性 189
  4 連邦最高裁の表現の自由理論の展開 192
 結語 193


第3部 自己決定
Chapter 6 文化戦争と反ソドミー法違憲判決
――The Story of Lawrence v. Texas, 539 U.S. 558 (2003) [松尾 陽]   197
 序 198
 Ⅰ ローレンス判決の前史 199
  1 文化戦争とは何か――急進リベラルと宗教右派―― 199
  2 ソドミー規制と文化戦争 201
  3 バウアーズ判決とその後 202
 Ⅱ ローレンス判決 205
  1 事件の概要 205
  2 ケネディ判事法廷意見(スティーブンス判事,スーター判事,ギン
ズバーグ判事,ブライヤー判事が加わった) 206
  3 オコナー判事同意意見 210
  4 スカリア判事反対意見(レーンキスト長官,トーマス判事が加わった)
211
  5 トーマス判事反対意見 216
 Ⅲ 単純なローレンス判決の曖昧さ 216
  1 法的構成の問題 216
  2 審査基準論 217
  3 法廷意見の実質 221
  4 射程の問題――同性婚を中心に―― 225
 Ⅳ これは戦争か? 228
  1 スカリア判事の「中立性」 229
  2 ケネディ判事の寛容論 229
  3 文化戦争の全体化の危険と裁判における限界 230
 結びに代えて 234


Chapter 7 「一部出生中絶」の禁止と中絶の権利の将来
――The Story of Gonzales v. Carhart, 550 U.S. 124 (2007) [小竹 聡]   237
 はじめに 238
 Ⅰ 「一部出生中絶」の禁止 239
  1 特定の中絶処置の政治的争点化 239
  2 カーハートⅠ判決 242
  3 2003年連邦法と本件訴訟の経緯 247
  4 エイヨッテ判決 250
 Ⅱ カーハートⅡ判決 251
  1 ケネディ(ロバーツ,スカリア,トーマス,アリート同調)法廷意見
252
  2 トーマス(スカリア同調)同意意見 261
  3 ギンズバーグ(スティーブンス,スーター,ブライヤー同調)反対意見
261
 Ⅲ 判決の意義と問題点 265
  1 判決の意義 265
  2 判決の問題点 267
 Ⅳ 中絶の権利の将来 271
  1 カーハートⅡ判決の効果 271
  2 中絶をめぐる法と政治 274
 おわりに 275


第4部 デュー・プロセス
Chapter 8 懲罰的損害賠償とデュー・プロセス
――The Story of Philip Morris USA v. Williams,
549 U.S. 346 (2007) [紙谷雅子]   279
 はじめに 280
 Ⅰ 煙草訴訟 281
 Ⅱ 懲罰的損害賠償 285
 Ⅲ 懲罰的損害賠償が認められるとき 290
  1 ニューポート市対ファクト・コンサーツ(1981) 290
  2 シルクウッド対カー=マッギィ(1984) 292
  3 パシフィック・ミューチュアル生命保険会社対ハスリップ(1991) 293
  4 TXO プロダクション対アライアンス・リソーシス(1993) 294
  5 北アメリカ BMW 対ゴア(1996) 297
  6 クーパー工業対レザーマン・ツール・グループ(2001) 299
  7 スティト・ファーム・ミューチュアル自動車保険会社対キャンベル
(2003) 300
  8 エクソン海運会社対ベィカー(2008) 302
 Ⅳ フィリップ・モリス社対ウィリアムス 303
 Ⅴ 懲罰的損害賠償の憲法化 309
 最後に 312


Chapter 9 少年の死刑と国際基準
――The Story of Roper v. Simmons, 543 U.S. 551
(2005) [勝田卓也]   315
 はじめに:アメリカにおける死刑 316
 Ⅰ 事実の概要と判旨 318
  1 ケネディ判事の法廷意見 320
  2 スティーブンス判事の補足意見 328
  3 オコナー判事の反対意見 328
  4 スカリア判事の反対意見 331
 Ⅱ 修正8条の解釈における外国法の意義 335
  1 外国法の位置付け 337
  2 最高裁を通じた国際基準の導入の背景事情 340
  3 検証可能性 344



第5部 政府言論・著作権
Chapter 10 政府言論の法理
――The Story of Pleasant Grove City v. Summum,
555 U.S. 460 (2009) [大林文敏]   353
 Ⅰ はじめに 354
 Ⅱ これまでの判例の動向 355
  1 政府言論に関する判例の動向 355
  2 パブリック・フォーラムに関する判例の動向 358
 Ⅲ プレザント・グローブ・シテイ対サマム判決 362
  1 事件の事実関係 362
  2 判旨 363
  3 位置づけ 372
 Ⅳ 理論的課題について 373
  1 問題の所在 373
  2 混合言論の提唱 373
  3 混合言論に対する批判 376
  4 小括 379
 Ⅴ むすびにかえて 381


Chapter 11 著作権延長法の合憲性
――The Story of Eldred v. Ashcroft, 537 U.S. 186
(2003) [築山欣央]   383
 Ⅰ はじめに 384
 Ⅱ 事件の背景 385
  1 裁判に至る経緯 385
  2 原告らの主張 386
  3 下級審における判断 387
 Ⅲ 判旨 388
  1 著作権法に関する歴史 388
  2 法廷意見(ギンズバーグ判事執筆,レーンキスト,オコナー,スカリ
ア,ケネディ,スーター,トーマス各判事同調) 390
  3 反対意見(スティーブンス判事) 394
  4 反対意見(ブライヤー判事) 396
 Ⅳ エルドレッド判決後の動向 398
  1 ベルヌ条約体制におけるアメリカ合衆国の著作権 398
  2 ゴラン事件 400
 Ⅴ 研究 401
  1 先例との関係 401
  2 著作権と知的財産法の国際化 404
 Ⅵ おわりに 405


第6部 刑事手続・人身保護令状
Chapter 12 対審権と伝聞証拠
――The Story of Crawford v. Washington, 541
U.S. 36 (2004) [君塚正臣]   411
 はじめに 412
 Ⅰ クロフォード対ワシントン判決に至る事情 413
 Ⅱ クロフォード判決 417
  1 事案 417
  2 スカリア判事法廷意見 419
  3 レーンキスト長官結果同意意見 428
 Ⅲ クロフォード判決の影響 430
  1 クロフォード判決以降の最高裁の動向 430
  2 testimonial 区分の困難さ 433
 おわりに 439



Chapter 13 「テロとの戦争」と人身保護
――The Story of Boumediene v. Bush, 553 U.S.
723 (2008) [佐藤義明]   441
 Ⅰ 事件の背景 442
  1 「テロとの戦争」の開始 442
  2 被拘禁者の処遇に関する政治部門と司法部門の「対話」 445
  3 ブーメディアン事件の概要 452
 Ⅱ 判決の概要 453
  1 法廷意見 454
  2 スーター判事同意意見(ギンズバーグ判事およびブライヤー判事支持)
460
  3 ロバーツ長官反対意見(スカリア,トーマスおよびアリート判事支持)
460
  4 スカリア判事反対意見(ロバーツ長官,トーマス判事およびアリート
判事支持) 463
 Ⅲ 判決の影響 465
  1 問題の継続 465
  2 事態の「悪化」 468
 Ⅳ 考察 471
  1 人身保護令状 471
  2 「テロとの戦争」と国際人道法および国際人権法 474


第7部 選挙権・選挙制度
Chapter 14 大統領選挙紛争と投票権の平等
――The Story of Bush v. Gore, 531 U.S. 98 (2000)
[見平 典]   479
 はじめに――ブッシュ対ゴア事件・再訪 480
 Ⅰ 事件の背景 482
  1 アメリカ大統領選挙制度 482
  2 選挙運営の実情 484
  3 投票権に対する平等保護 485
 Ⅱ 事件の概要 490
  1 ブッシュ対パーム・ビーチ・カウンティ選挙管理委員会事件 490
  2 ブッシュ対ゴア事件 492
 Ⅲ 判決の概要 495
  1 パー・キュライアム 495
  2 補足意見 498
  3 反対意見 499
 Ⅳ 判決の憲法学的考察 501
  1 判決の論理と正当化可能性 502
  2 判決の射程 506
  3 判決後の動向 510
 Ⅴ 判決の司法政治学的考察 514
  1 非法的考慮が判決行動を導いた可能性 515
  2 非法的考慮の内容と本件判決行動の正当性 518
 おわりに――ブッシュ対ゴア事件判決の辿る途 523


Chapter 15 団体による政治資金の規制
――The Story of Citizens United v. FEC, 558 U.S.
310 (2010) [福井康佐]   527
 はじめに――民主主義と金の問題 528
 Ⅰ アメリカの政治資金規制の沿革 530
  1 政治資金の影響力と規制の3つの柱 530
  2 1971年 FECA 制定から1974年改正まで~PAC 時代の幕開け 531
  3 Buckley判決と1976年改正 531
  4 1979年改正とソフトマネー 533
  5 2002年改正(BCRA) 533
  6 関連する判例 534
 Ⅱ 判決 536
  1 事実関係 536
  2 判旨 539
 Ⅲ 判決後の動向 550
  1 政治・立法の動向 550
  2 Super PAC の登場 552
 Ⅳ 独立支出の政治過程への影響 552
  1 事実上の寄附金としての独立支出 553
  2 独立支出の政治過程への影響 554
  3 裁判所の役割 562
 むすび―「政治が金で動くこと」に対する見解の対立 564

第8部 権力分立・連邦制
Chapter 16 項目別拒否権法(The Line Item Veto Act)の合憲性
――The Story of Clinton v. City of New York, 524 U.S. 417 (1998) [尾形 健]   567
 序 568
 Ⅰ 項目別拒否権の概要 570
  1 項目別拒否権法の制定 570
  2 本件訴訟の経緯 573
 Ⅱ 項目別拒否権法の合憲性 575
  1 法廷意見(スティーブンス判事執筆。レーンキスト長官,ケネディ・
スーター・トーマス・ギンズバーグ各判事同調) 575
  2 個別意見 579
 Ⅲ 項目別拒否権と,執行府・立法府 586
  1 項目別拒否権とその憲法上の所在 586
  2 項目別拒否権法の合憲性――本判決の論理 589
  3 権力分立制と司法審査 593
 結 595


Chapter 17 信教の自由と司法の優越
――The Story of City of Boerne v. Flores, 521
U.S. 507 (1997) [小林裕紀]   597
 序 598
 Ⅰ RFRA制定までの道のり 600
  1 信教の自由の判例の展開 600
  2 連邦議会の修正14条5節に基づく権限の法的性格 603
  3 信教の自由の保障範囲の拡大を目指して:RFRA の制定 606
  4 RFRA 制定後の下級審の対応 609
 Ⅱ バーニー市対フローレス事件 611
  1 事実の概要 611
  2 法廷意見 612
  3 その他の意見 615
  4 分析:本判決の意義と残された課題 618
 Ⅲ バーニー事件後の議会や裁判所の対応 621
  1 聖ピーター・カトリック教会の増改築の行方 622
  2 各州の対応 622
  3 連邦議会の対応 623
  4 連邦政府に対する RFRA の適用 625
 Ⅳ 分析と検討 626
  1 信教の自由の保障をめぐる問題 626
  2 憲法解釈をめぐる議会と裁判所の関係 630
  3 適合性と比例性のテスト 633
 結 635

金子勝「憲法の論理と安保の論理」

[安保] ブログ村キーワード

金子勝『憲法の論理と安保の論理』が勁草書房から出版された。
『日本国憲法の原理と「国家改造構想」』の続編とのこと。

実は憲法系の本をどのように受け止めればいいのかいつも迷う。

解釈論なのか現状認識・分析なのかそれを踏まえた提言なのか、門外漢にはちょっと分り難いからだ。少なくとも刑法プロパーの人間としてはさっぱりわからないので困る。

まあ、そもそもこれが一般向けなのかどうかは議論の余地があるので、門外漢に(主張内容ではなく)分類がわからなくても問題ない気もするけどね。

そんな戯言はさておき、憲法改正が盛んに議論されている昨今、安保との兼ね合いについて考えてみるために、ちょっとした助けになるかもしれない。

憲法の論理と安保の論理

はしがき

序 章 二一世紀の人類の課題と日本国憲法

第Ⅰ部 二一世紀安保体制への道

第1章 「小選挙区比例代表並立制」の導入と民主主義の無力化

第2章 『橋本行政改革』と国家改造

第Ⅱ部 二一世紀安保の理論と「『安保』ファシズム」

第3章 『日米安全保障共同宣言』と「一九九七年ガイドライン」

第4章 「一九九七年ガイドライン」の法制化

第5章 「『安保』ファシズム」の躍動化

第6章 「『安保』ファシズム」の構造

第7章 国旗・国歌の制定と国家主義の台頭

第8章 ファシズムと日本国憲法

第Ⅲ部 「『安保』ファシズム」と日本国憲法の相克

第9章 狙われた日本国憲法「第九条」

第10章 今日の改憲阻止運動の課題

第11章 自民党「新憲法草案」と「『安保』ファシズム」

第12章 「グローバリゼーション」と『平和的福祉国家の宣言』

初出誌一覧

なめらかな社会とその敵

[社会科学者] ブログ村キーワード

勁草書房のサイトを見ていたら『なめらかな社会とその敵』の刊行記念トークが開催されていた。社会科学分野に関わるものとして、ちょっと興味がある。

個人的に、社会の生態学的進化というものがどんなものなのか気になるし。

ただ中沢新一は学者として評価できないと思っているので、彼が推薦していることがむしろマイナスかも。

シュミットについての言及はめちゃくちゃ気になる。

以下目次。

はじめに

第I部 なめらかな社会

第1章 生命から社会へ
 1.1 複雑なまま生きる
 1.2 膜と核
 1.3 私的所有の生物学的起源
 1.4 オートポイエーシス:生命システムと環境
 1.5 人工物としての社会制度
 1.6 責任なき社会,自由意志なき社会

第2章 なめらかな社会
 2.1 権力者と組織
 2.2 ソーシャルネットワーク
 2.3 網,膜,核
 2.4 ステップ,フラット,なめらか
 2.5 なめらかな社会

第II部 伝播投資貨幣 PICSY

第3章 価値が伝播する貨幣
 3.1 貨幣の共通性と多様性
 3.2 PICSY:フローベースの代替通貨
 3.3 PICSYは実際に利用可能か

第4章 PICSYのモデル
 4.1 一般的な評価システムとしての静的モデル
 4.2 貨幣システムとしての動的モデル(自己評価法)
 4.3 カンパニーとその仮想性
 4.4 中央銀行法
 4.5 仮想中央銀行法
 4.6 3つの方法の比較
 4.7 まとめ

第5章 PICSY,その可能性と射程
 5.1 PICSYは何をもたらすか
 5.2 PICSYの実現
 5.3 実現への批判とそれへの反論
 5.4 応用
 5.5 なめらかな社会としてのPICSY

第III部 分人民主主義 Divicracy

第6章 個人民主主義から分人民主主義へ
 6.1 ネットは民主主義を再発明できるか?
 6.2 近代民主主義が抱える問題とその突破

第7章 伝播委任投票システム
 7.1 伝播委任投票システムの実現
 7.2 課題
 7.3 分人民主主義の意義
 7.4 なめらかな社会としての分人民主主義

第IV部 自然知性

第8章 計算と知性
 8.1 万能機械主義の時代:1936年~
 8.2 身体環境主義の時代:1968年~
 8.3 ネットワーク主義の時代:1995年~
 8.4 社会知性:コンピュータとしての社会

第9章 パラレルワールドを生きること
 9.1 メディアとは何か
 9.2 ゲームと労働

第V部 法と軍事

第10章 構成的社会契約論
 10.1 問題の所在
 10.2 構成的社会契約への道
 10.3 構成的社会契約試論
 10.4 私が政府である社会

第11章 敵
 11.1 シュミットの銀河系
 11.2 オートポイエーシスと友敵論
 11.3 公敵なき社会

終章 生態系としての社会へ

『刑罰はなぜ必要か 最終弁論』

『刑罰はなぜ必要か 最終弁論』は、中央大学出版会の日本比較法研究所翻訳叢書から出ているヴィンフリート・ハッセマー著の翻訳ですね。出版社HPの紹介によると、「ドイツの書評において高い評価を得た刑法入門書の日本語訳」なのだそうです。監訳者は堀内捷三先生ですね。

しかし、目次を見るといかにもハッセマーっぽい興味関心という感じがします。たぶん、ドイツ刑法やってる人なら、この感覚もわかるんじゃないですかねw

以下、目次です。

A. 日常生活の中の罰

Ⅰ. 隔たりと近さ
Ⅱ. 日常文化
Ⅲ. 社会的コントロール
Ⅳ. まとめ

B. 刑法がなそうとしていること。又は、刑罰がなすべきこと。

Ⅰ. 畏敬すべき箴言
Ⅱ. 透明性、悲惨さ、そして、浅薄さ
Ⅲ. 古いものから新しいものを
Ⅳ. まとめ

C. 我々すべてがなそうとしていること。又は、刑法がなさなければならないこと。

Ⅰ. 刑法の力
Ⅱ. 規定化の構想
Ⅲ. まとめ

D. 焦点
Ⅰ. 責任
Ⅱ. 被害者
Ⅲ. 少年


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